アメリカのテニス環境まとめ。レベルの高い競争と文武両道の中で鍛えられていくジュニア達。


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アメリカのテニス環境を現地で調査

アメリカのテニス環境のまとめです。一言でアメリカといっても広すぎます。今回訪れたフロリダとカリフォルニアだけでも広大な土地。そしてその2つは地理的に考えても別の国と言えるほど違いがあります。ですがここではとりあえず一括りにしてまとめてみます。

かつて、マッケンロー・コナーズの時代から、サンプラス・アガシ・クーリエ・チャンなど、スーパースターを連ねたアメリカからすると、少し元気がなくなったような印象を持たれてしまうアメリカ。スーパースターが出てこないとダメになったと言われるのはキツイですが、実際はレベルの高い選手がたくさんいます。そして世界中から選手が集まる大学のシステムも魅力的です。

日本との世界ランカー比較

まず始めにスペイン国籍のテニス選手の状況から。()内は日本人のデータ。2016年10月3日現在のデータです。

男子世界ランク100位内 7人(4人)
男子世界ランク最高位 23位(5位)
男子世界ランカー 159人(68人)

女子世界ランク100位内 15人(4人)
女子世界ランク最高位 2位(31位)
女子世界ランカー 109人(66人)

ジュニア男子世界ランク100位内 12人(5人)
ジュニア男子世界ランク最高位 4位(5位)
ジュニア男子世界ランカー 190人(78人)

ジュニア女子世界ランク100位内 20人(5人)
ジュニア女子世界ランク最高位 1位(16位)
ジュニア女子世界ランカー 227人(105人)

日本とのGDP比較

名目GDP 1位 (3位)
一人当たりのGDP 6位 (23位)
()内は日本

テニスコート紹介

広大な敷地面積に20面ほどのテニスコートがあるクラブがたくさんあります。

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ほとんどのクラブにハードコートとクレーコート(グリーンサンド)があります。

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練習形式はアカデミーによって異なりますが、スペインのように統一されたシステムがあるかというとそうでもないです。コーチによって練習内容が変わります。フロリダはヒスパニック系のコーチも多いので若干スペインよりの指導が多かった気がします。基本的には、スペインのようにラリーを続けるスタイルよりも、一球でも早く決めに行け!(あくまで分かりやすく言うとですが)というスタイルが多いと感じました。スペインのような球足が極端に遅いレッドクレーがないことも一因としてあげられると思います。

クレーコートは全てグーリンサンド、球足は?

ヨーロッパのレッドクレーと違い、グリーンサンドと呼ばれる緑色をしたクレーコートです。行く先々でコーチ達に、なぜグリーンサンドなのか?と質問しましたがこれといった回答は得られませんでした。球足の速さは、ヨーロッパのレッドクレーと比べると速いです。これは実際に見た私もそう感じましたし、ヨーロッパ出身のコーチは口を揃えてそう言っていました。

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フロリダはテニスアカデミーだらけ

フロリダは、西側も東側もテニスアカデミーがたくさんあります。宿泊施設が併設されているところも多く、国内・海外を問わずテニス中心の生活を求めて選手達がやってきています。フロリダは、毎週新しいテニスアカデミーが立ち上がるという冗談があるほどです。その分競争も激しいです。

カリフォルニアは個人活動が多い

フロリダとは対照的にカリフォルニアでは、テニスアカデミーがあまり元気がありません。教育熱が盛んな影響が大きいと思いますが、選手それぞれが、個人のペースでテニスをしたい為に、個人でコーチに依頼したり、お父さんお母さんと練習するケースが多いです。グループレッスン、お父さんと練習、個人レッスン、試合参戦を、バランス良く、そして経済的なことも考慮して組み立てて活動しているパターンが多いです。

こちらで活動する日本人親子のお父さんにインタビューしました。参考にしてみてください。
生まれも育ちもロサンゼルス、日本人ジュニア選手を支えるお父さんにインタビュー!!

大会の充実

ITF大会は、グレードAからグレード4まで年間17大会。グレード2と3はないので、上と下を用意しているという感じ。そしてUSTAの大会は毎週のように行われていて試合に困ることはなさそうです。年間40大会以上チャレンジ可能です。当然3セットマッチです。各大会毎にカテゴリーを変えられるので、自分の目標に応じてチャレンジできます。

スーパースターがでないと認められない

冒頭にも書きましたがスーパースターが出てこないと復活したと言われない辛さがある歴史のあるアメリカテニス。ですが、大会を視察する限りでは、テニスのレベルはとても高いです。そしてその高いレベルの選手達もほぼ全員まずは大学進学が目標なので、勉強もものすごくしています。文武両道です。ジュニアの頃から厳しい現実にさらされて努力をしています。

物価が高い

日本と比べると同じくらい、ヨーロッパのさほど物価が高くない国と比べると高く感じます。そしてほとんどの地域で生活するには車が必要です。保険や医療費がものすごく高いのも特徴です。物価というよりもリビングコストが高いという印象です。

アメリカの特徴

フロリダ

①選手育成専門のアカデミーがたくさんある
②海外からの留学生が多い
③年間を通して気候がいいが、蒸し暑く、スコールが降る
④テニスアカデミーの費用は高い
⑤大会がたくさんある

カリフォルニア

①選手育成専門のアカデミーはフロリダほど多くない
②海外からの留学生は少なめ
③年間を通して気候がいい、湿度も低く雨も少ない
④テニスアカデミーの費用は高い
⑤大会がたくさんある

フロリダとカリフォルニアは、また違った国と言ってもいいくらい環境が違います。ですが、レベルの高い大会がたくさんあり、チャレンジできる環境があるのは両方同じです。日本人選手もカリフォルニアジュニアトップクラスの戦績から選手活動したり(日々万葉選手)、アメリカの大学に進学して1年生で全米で準優勝したり(柴原瑛菜選手)と活躍しています。2人ともお父さんがメインコーチというのもカリフォルニアらしいです。

バルセロナ同様に高いレベルの競争がここにはあります。競争の中で勝ち残った選手が強い選手であるという、いかにもアメリカらしい、わかりやすい考え方。日本は試合が少なく、しかも1セットマッチ。大会が充実しているアメリカに定期的にチャレンジに来られたらいいですね。そして強い選手達が、勉強もものすごくしている現実を見ることも刺激になるでしょう。

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